奈良県はお寺が有名な地域ですが、「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」と正岡子規が詠んだように、実は昔から俳句に詠まれるほど奈良は柿がよく似合う土地柄として知られています。古くは「御所柿」を始めとし、多彩な品種の柿が品種改良されて、生まれてきました。特にハウス柿については全国1位の出荷量を誇るのも特徴です。そんな奈良県の柿について解説しましょう。
奈良県はハウス柿や柿の名産地
奈良県はハウス柿で全国1位の出荷量を誇っており、今も多くの農家が奈良県でハウス栽培の柿を生産しています。さらに奈良県はハウス柿を含む栽培面積全国第3位、さらには効率の良い生産体制によって収穫量は全国第2位となっているのが特徴です。品種改良も盛んな地域で、特に現在の主要品種である「刀根早生(とねわせ)」の発祥の地としても知られています。ハウス柿は五條市、天理市、御所市、下市町が主に生産されているところで、毎年、梅雨明け近くになると初選果が行われるなど、全国でもいち早く柿を市場に供給しているのも特徴です。このような生産ができるのも標高100m~400mの水はけのよい傾斜を持つ中山間地という地形が多いことや年間平均気温14~15℃と比較的温暖な上、収穫期の温度差も得られることからです。
ハウス柿の主力品種!刀根早生
ハウス柿は刀根早生と呼ばれる品種が多く生産されています。この品種は種無しのねっとりとした上に糖度の高い濃い味わいがその特徴として知られています。とにかく手間をかけて生産されており冬の寒い間もボイラーをたき続けることで一定の温度で保たれたハウスの中で栽培されているのが特徴です。
ハウス柿が高級な理由
ハウス柿は、時季外れなこともあり、京浜、東北、京阪神などの都市部に出荷される頃には、ある程度高額な料金で提供されています。その理由は、温度、水管理が大変で、色づきや味に影響することから手間がかかっていることや、さらに選果場で厳しい選別によって箱詰めされていることからです。ハウス柿は一般のルートではなく高級飲食店や贈答用として出荷され、高級食材や高級果物として扱われています。